伊藤まさひろ世事感懐

あおり運転をなくそう

茨城県内の高速道であおり運転の挙句、車を停車させて運転手を殴った男が逮捕された事件は、車を凶器として扱う凶悪なドライバーが私たちの身近を走っているということを改めて思い知らされました。いつ、このような凶暴なドライバーの標的になるのかと思うと、おちおちドライブも楽しめません。警察によるあおり運転の取り締まりを一層、強化していただくようお願いしたいと思います。

実際に、ほとんどのドライバーがあおり運転をされたり、目撃したりしているのではないでしょうか。JAFの調査では、94.3%のドライバーがあおり運転をされたことがあると答えています。車間間隔を極端に詰める、幅寄せや蛇行運転をする、強引に割り込みして急ブレーキをかけるなどのあおり運転は事故につながりかねない大変、危険な行為です。

なぜ、あおり運転をするのでしょうか。車の運転にはイライラ、ストレス、怒りがつきものですが、特に怒りっぽい乱暴な人は極端な被害者意識を持っていて、自分のプライドが傷つくと相手を攻撃する習癖があり、それがあおり運転につながるといいます。さらに、ドライバーは相手の顔が見えないため、攻撃行動がしやすくなるというのです。逮捕された男は全国各地で同じようなあおり運転をしていたことが報告されているように、一部の乱暴なドライバーはあおり運転の常習者で、このため、多くの人々が危険にさらされているのです。

東名高速道路であおり運転をされ、無理やり停車させられた車に後続車が追突、夫婦が亡くなるという痛ましい事件をきっかけに、全国であおり運転の摘発に力が入れられています。千葉県警でも昨年、あおり運転に伴う車間距離不保持違反や追い越し方法違反、進路変更禁止違反で前年件数を大きく上回る摘発をするなど、取り締まりを強化しているということです。先の6月県議会で千葉県警本部長は、「あおり運転等に対する取り締まりへのヘリコプターの活用についても検討したい」と答弁されましたが、あらゆる手段で危険なあおり運転の撲滅に力を注いでいただきたいと思います。

同時に検討していただきたいのが、現在の運転免許制度についてです。常習的にあおり運転をし、相手のドライバーに暴力をふるって逮捕されても、免停期間を過ぎれば再び運転免許証を手に入れることができる現行の運転免許制度に疑問の声が上がっています。ドイツでは悪質運転の常習者と裁判所が判断すると、免許証が没収されるそうです。イギリスにも厳しい制度があります。危険な運転をすれば運転免許証が没収されるとなれば、そのような運転の抑止力にもなります。我が国でも本格的に考えるべきではないでしょうか。