伊藤まさひろ世事感懐

風台風による塩害

10月1日に列島を駆け抜けた台風24号によって関東を中心にした沿岸部は塩害の被害を被りました。千葉県内でも庭の草木が枯れ、京成電車がストップするなどしました。品薄の野菜が値を上げ始め、家計にも影響を与えようとしています。

台風24号は千葉市で10月の観測史上、最も強い、最大瞬間風速41.4メートルの強風を観測するほどの風台風でした。この台風の猛烈な風で海水が巻き上げられ、沿岸部に吹き寄せられました。塩分が付着した植物の葉は黄色く変色、窓ガラスや物干し竿などは何回拭いても塩分でべたべたしていました。

屋外駐車の車にも塩がたっぷりと付着、ガソリンスタンドの洗車場には車の長い列ができました。塩分は車の細部に至るまで付着し、そのままでは当然、錆が発生してしまいます。今では車の塗装技術が発達していてそういうこともないでしょうが昔、海水の飛沫を含んだ強風が吹きつける海沿いの町では、新車を買っても車検までに錆が大量に発生してしまったという話を聞いたことがあります。道路に塩化ナトリウムを含んだ凍結防止剤がまかれている雪国の道路を走行した後、車の下回りを念入りに洗うのはスキーヤーの常識です。

台風の塩害は、電車もストップさせました。送電線の碍子(がいし)に塩分が付着、漏電してバチバチと火花を散らし、あちこちで炎を上げた京成電鉄では10月3日夜から朝にかけて電車の運行が出来なくなりました。

野菜の被害も目立っています。旭市の農家のキャベツは植えたばかりの苗が茶色に変色して枯れてしまったということです。ネギや大根も被害が見られ、11月から12月にかけて、大幅な値上がりが避けられなさそうです。

残念なのは太平洋沿岸部での今秋の紅葉観賞が期待できなくなったことです。鎌倉などの紅葉の名所ではモミジの葉が塩分で茶色く変色して枯れてしまっているそうです。県内でも街路樹のイチョウの葉が、まだ緑色のまま散っています。

降雨を伴う台風なら、雨が塩分を流し落としてくれるのですが、今回は風台風のあと、晴天の日が続いたため、被害を大きくしました。つくづく自然の暴威を実感させる出来事でした。