伊藤まさひろ世事感懐

有害獣駆除、専門家のアイデア拝借

例年になく寒い日が続いています。「黒潮の蛇行のせい」「東南アジア付近の海面温度が高くなるラニーニャ現象が影響」などあれこれ言われていますが、「暑さ寒さも彼岸まで」。草木が芽吹く季節が来るまでもう少しの辛抱です。

先日、新聞を読んでいたら、県が有害獣の駆除のために専門家を採用するという記事が目に止まりました。以前、この欄で「急がれる有害獣の駆除」とタイトルを付けた文章を掲載し、対策を急ぐよう呼びかけましたが、それから3年半、新聞の記事によりますと県内の有害鳥獣の被害は減っているどころか、逆に増加しているということです。

記事によりますと、2016年度の有害鳥獣による農業被害額は4億6539万円で前年度より7283万円増え、過去10年間で最悪になったそうです。ちなみにイノシシによる被害が2億5768万円、キョンによる農業被害額は132万円でした。キョンは台湾や中国に分布している小型のシカで、勝浦市にあったレジャー施設「行川アイランド」から逃げ出して繁殖しています。繁殖力が強いことから、頭数の増大が心配されていましたが、3年間で2倍を超え、2015年度には5万頭が生息していると推計されています。

猟友会に委託したり、県による直接捕獲も行われてきましたが、駆除が繁殖に追いついていないのが実態のようです。このため県はイノシシとキョンの生態に詳しい専門家を一人ずつ採用し、その知識を有害獣の捕獲に生かすことになりました。

採用される専門家は野生獣の生態・被害対策の専門知識が豊富。わな猟の免許も持ち、生息実態を踏まえた新型わなの開発や設置方法の研究を行って、イノシシとキョンの効果的な捕獲に一役買うということです。

県は印旛沼水系に繁殖する北米原産の特定外来生物カミツキガメ捕獲のため、カミツキガメの生態に詳しい専門家を採用し、生息数減少を目指しています。泥の中に潜り込んで冬眠中のカミツキガメを探し出して捕獲するなどの実績も上げているということです。新たに採用されるイノシシとキョンの専門家にも期待が寄せられています。