伊藤まさひろ世事感懐

印旛沼のカミツキガメ根絶へ

印旛沼の厄介者、カミツキガメを徹底的に駆除しようと、県が根絶のための基本戦略を打ち出しました。これまでより捕獲の量や場所を拡大し、3年間で毎年、2500匹以上の捕獲を目標にしています。印旛沼を安全な市民の安らぎの場所にするためにも、この戦略が功を奏するよう期待します、

北米原産のカミツキガメはかみつく力が強く、子どもが何も知らずに手を出すと非常に危険です。特定外来生物に指定され、今では外来生物法で輸入や販売、飼育、運搬が禁止されていますが、かつて何者かが飼育しきれなくなったカミツキガメを印旛沼に放流、それが繁殖して、今では1万6000匹ほど生息すると推測されています。

獰猛で、既存の印旛沼の生態系に悪影響を及ぼすことから、私は県議会でたびたび、対策を質問してきましたが、県当局の答弁によりますと2007年度から駆除に着手し、昨年度は1411匹を捕獲するなど、市町村などが捕獲した分を含めて、これまで6000匹以上を捕獲してきたとのことです。それでも、個体の増加がストップする目安とされるメスの年間目標捕獲数1250匹に遠く及ばず、このままでは今後も繁殖し続けるとみられるところから、根絶のための方策を盛り込んだ基本戦略が策定されました。

今年度の事業費として、前年度の2倍の2280万円を計上した基本戦略では印旛沼周辺を水系ごとに11のエリアに分け、このうち、高確率でわなにかかる佐倉市と印西市の一部の4エリアを高密度エリアに指定して、3年間でこの4エリア内のカミツキガメの消滅を目指します。その後も捕獲を続けて、すべてのエリア内での根絶を目指すとしています。

具体的な手段としては、川や沼を中心にして行われていた捕獲を水田や農業用水路にも拡大します。さらに定置網や置き針、手探りでの捕獲と、さまざまな方法を使ってカミツキガメを捕まえます。甲羅に小型の発信機をつけての行動範囲調査も予定されています。

カミツキガメ根絶に向けて、力強い助っ人も加わりました。大学院や企業でカメの研究・調査を続けてきた今津健志さんです。習性の豊富な知識をもとに、カミツキガメの根絶に一役買います。

風光明媚な印旛沼は観光資源になるばかりでなく、周辺の水田に豊富な農業用水を提供するなどの恵みの沼です。その印旛沼の生態系を守り、子どもたちが安心して遊べる場所となるよう、関係者の努力に期待します。