伊藤まさひろ世事感懐

急増する外国人観光客

政府観光局の発表によりますと、今年、日本を訪れた外国人旅行者が10月に1600万人を突破し、過去最高を更新中だということです。2013年に初めて1千万人を超え、2014年には1341万人を記録した外国人観光客は、今年末までに1900万人台に乗せる勢いで、2020年までに2千万人にするとの政府目標が、目標年度を待たずして達成される可能性も出てきました。

言わずもがなですが、観光は我が国の経済で重要な位置を占める産業です。雇用創出などの経済効果が、観光スポットを持つ地方にまで波及するのが特色です。若干、古いデータですが、証券会社の研究所による試算では鉄道やホテル・旅館、旅行会社、遊園地など、幅広い分野に波及する観光産業の経済規模は2013年にGDP(国民総生産)ベースで16・7兆円に達したということです。これは半導体産業や家電産業を超えるとの試算もあります。

外国人観光客に限ってみれば、日本国内で使う金額は平均で1人当たりおよそ15万円。今年の外国人観光客が1900万人とすると総計で2兆8500億円ものお金を消費してくれるということになります。観光立国を目指す日本にとって、このところの外国人観光客の増加ぶりは実に心強いことです。

ちなみに、外国からの観光客が最も多く訪れている国はフランスで、アメリカ、中国、スペイン、イタリアなどがこれに続きます。観光を産業の柱として掲げるフランス、スペインなどは年間で、国民人口を上回る外国人観光客を受け入れています。2千万人に迫った我が国の外国人観光客数ですが、これらの国と比べると、まだまだ受け入れる余地があると言えそうです。

観光県を目指す我が千葉県の実情はどうでしょうか。昨年の統計によりますと、最も多くの外国人が宿泊したのは東京都で、千葉県は大阪府、北海道、京都府に続いて5位の266・7万人泊でした。一見、健闘している数字ですが、成田空港利用客の空港周辺ホテル宿泊客を含めた数字となると喜んでばかりではいられません。

成田空港周辺や、東京ディスニーランドがあるベイエリア周辺を中心に、訪問地域の偏りも指摘されています。外国人観光客増加の恩恵を十分に受けるためには、広く県内各地域の受け入れ体制の整備やPRが必要です。