伊藤まさひろ世事感懐

小学生に一層の情操教育を

文部科学省の調査で昨年度、小学生の教員や同級生などへの暴力行為が1万1000件を超えて、これまでで最も多くなったそうです。千葉県内でも1062件で前年より274件も増加しました。「荒れる小学生」に、さまざまな対策が求められています。

この調査によりますと、昨年度は同級生をたたいたり蹴ったりした子どもの間での暴力行為が7113件、担任に物を投げつけるなどの教員に対する暴力行為が2151件、校舎の窓ガラスを割るなどの器物損壊が1997件でした。学年別にみると、6年生が最も多いのですが、増加の幅は低学年ほど大きく、データを取り始めた平成18年度の5倍になっているそうです。

暴力行為の中には「小学1年生に何度も蹴られた教師が通院」、「登校中に注意された通行人に乱暴」など、信じられない事例もあったということです。

なぜ、小学生の暴力行為が増加しているのか、多くの人が分析を試みています。「葛藤体験の減少」とする分析もあります。辛抱ができない子どもが増えたというわけです。「小一プロブレム」を原因の一つに挙げた教育評論家もいます。それまで幼稚園で自由に遊んでいたのが、小学生になって座って勉強をするのに耐えられず、異常行動をとるということです。

「今まで学校内で処理されてきた事案が、いじめ対策の強化などによって警察や地域へ通報されるようになり、その結果、小学生の暴力行為の件数が増加した」と見る向きもありますが、それだけで済ますわけには行かないようです。

暴力行為が増えた原因の一つとして、子どもの人権上の配慮を何よりも優先する学校教育の限界を指摘する声もありますが、先生たちは英知を結集して、子どもの情操教育に全力を上げて欲しいと思います。

学校での情操教育にも増して大切なのが家庭での教育です。日頃の子どもの行動や心の動きに気を配って、心身ともに健やかなわが子の成長を目指しましょう。