伊藤まさひろ世事感懐

ストーカー犯罪の防止を

ストーカー殺人と見られる痛ましい事件が市川市でありました。22歳の女性が娘の目の前で刺され亡くなりました。報道によりますと、八丈島で確保され、その後、殺人容疑で逮捕された男はこの女性に復縁を求めてつきまとい、警察に警告されていたそうです。

本県が関係したストーカー殺人としてまだ記憶に新しいのが、長崎県西海市でつきまとわれていた女性の母親と祖母が殺害された事件です。この事件では相談を受けた警察署の対応や千葉、長崎、三重県警の連携が問題になりました。妻と母親を殺された男性の「家族だけでは、ストーカー加害者から被害者を守れない」という悲痛な言葉が、ストーカー規正法の改正を後押ししました。

それでも、ストーカー被害が後を絶たず、今回、新たな事件が発生してしまいました。なぜ、ストーカー犯罪が多発するのでしょう。ストーカーの心理を「自分の愛情を相手が受け入れてくれないことが信じられない」とある識者は分析しています。確かにその通りかもしれません。自己中心的な幼い思考しかできず、相手の考えを理解できない。その挙句、つきまとって復縁を迫り、それもかなわないと見ると相手に危害を及ぼす。なんとわがままで身勝手な行動なのでしょう。

ストーカーによる犯罪を防ぐのは大変困難です。脅迫的なメールを送りつけ、つきまとって復縁を迫る男を、警察は犯罪を犯す恐れがあるとして安易に身柄を事前拘束することはできませんでした。そうは言っても、なんとか痛ましい事件だけは未然に防ぎたいものです。DV被害者を救うためのシェルターのような、ストーカーから身を隠す一時避難施設も効果があるのではないでしょうか。

千葉県もストーカー犯罪の防止のため、県迷惑防止条例を改正して嫌がる相手に連続してメールを送る行為を規制することになりました。ツイッターやLINEによる行為も規制対象になります。警察はこれまでの警告を優先させる従来の姿勢を転換し、危険性や切迫性があるストーカーには逮捕を優先させる検討を始めました。ストーカーに対してさまざまな網をかぶせ悪質な行為を摘発して、ぜひとも痛ましい事件の発生を未然に食い止めていただきたいと思います。