伊藤まさひろ世事感懐

拡がる再生可能エネルギー発電

原子力発電の事故をきっかけに、太陽光や風力、地熱などを利用した再生可能エネルギーによる発電の拡大が急務になっています。エネルギーの安定確保のために、その機運が加速するのを見守っていきたいと思います。

東日本大震災での原発事故で、全国各地の原発が運転を休止しています。電力会社は火力発電所をフル稼働して、電力確保に躍起になっていますが、長く運転していなかった古い発電所も多く、突然の故障でいつストップするか分からない状況だということです。

電力供給量が需要を下回ると、大規模停電が引き起こされます。そうしますと、北海道などの厳寒地では電気を利用する暖房器具が使えなくなり、人命にもかかわります。停電にならないまでも、十分な電力が供給されなければ、わが国の国民生活や経済活動に影響が大きく、自民党は原発の即時撤廃などの性急な方策はとらない立場です。慎重に、これまでの原発依存の電源構成を見直す方針で、衆院選の政権公約では「10年以内に、将来にわたって持続可能な電源構成のベストミックスを確立する」とうたっています。

電源構成の一翼を担うとして注目されるのが再生可能エネルギーです。昨年、再生可能エネルギーで生み出された電力購入を電力会社に義務付けた固定価格買い取り制度がスタートし、各地で再生可能エネルギーを利用した大規模発電施設の建設が相次いでいます。本県でも昨年、市原市に民間資本によるメガソーラー施設が始動しました。太陽光発電パネル6600枚を並べて2千キロワットの電力を発電します。これで一般家庭600世帯の電力を賄うことができるそうです。さらに、佐倉市でもメガソーラ施設が運転を開始、銚子沖には、わが国初の本格的な洋上風力発電設備が完成しました。

ドイツでは、電力供給の25%を再生可能エネルギーで賄っています。火山国のアイスランドでは26%の電力を地熱発電で供給しているそうです。わが国での自然に優しい再生可能エネルギーの利用拡大とともに、買い取り制度の負担が消費者にはね返らないような、効率的な発電システムの開発も期待したいと思います。