伊藤まさひろ世事感懐

空き家条例

だれも住まなくなった空き家が目立つようになりました。管理に手が回らずに荒れ果てている家屋も多く、火災などの恐れもあるところから、条例で適正な維持管理を呼びかける自治体が多くなっています。

総務省の統計によると、平成20年10月1日現在の国内の総住宅数は5759万戸で、うち756万戸が空き家になっています。平成15年から5年間で97万戸も増えました。住む人がいない家屋は火災の恐れがあるほか、害虫やネズミの発生が懸念されます。かつて空き家で寝泊りして周辺の住家へ空き巣に入っていた男もいました。また、庭に雑草が生い茂り、なかば朽ちた空き家は景観上の問題もあります。

空き家の持ち主に適正な管理を義務付ける空き家条例は埼玉県所沢市が平成22年7月に制定したのが始まりです。その後、全国各地で条例化する自治体が相次ぎました。県内でも柏市が昨年9月に、松戸市は今年4月に施行、さらに市川市は来年1月の施行を予定しています。

各自治体ごとに地域の実情に即した条例を施行しています。例えば松戸市の条例では市が空き家の状況を調査し、持ち主に適正管理を指導、助言、さらに勧告、命令できるとされています。命令に従わない場合は、氏名を公表すると定めています。

独り暮らしのお年寄りが増えていることが、空き家増加の背景です。お年寄りが亡くなった後、だれも住まなくなった家屋が増え続けます。高齢化社会に伴う独り暮らしのお年寄りの増加は全国的な傾向なので、どの自治体も空き家の問題を抱えています。

このため、空き家条例をまだ持っていない自治体でも、議会が中心になって制定を目指している自治体が増えているようです。どのような内容の条例が有効なのか、地方議員の一人である私も空き家条例の研究・検討を進めています。