伊藤まさひろ世事感懐

幸せ度

法政大学の教授が調査した都道府県の幸せ度ランキングが発表されました。ご存知の方も多いと思いますが、1位は福井県で、以下、富山、石川、鳥取県と続きました。さまざまな社会経済統計を抽出した40の指標によるランキングですが、わが千葉県は33位と、残念ながらかなり下位に甘んじました。

東京、大阪圏や人口250万人以上の都府県は軒並み低位で、上位は失礼ながら田舎の県が多かったようです。人口が多ければインフラを整備しても一人当たりの受益度は低くなってしまうでしょうし、犯罪発生件数も当然多くなるでしょう。都会の活力と豊かな自然は残念ながら相反するものです。ランキング低位の都府県から「幸せは一人ひとりの心が決めるもの。統計の数字で決められるものではない」というやっかみも聞こえてきそうです。

一方、ブータンの国王夫妻の来日を機に知られるようになったのがブータン国民の幸福度です。ヒマラヤのふもとの王国で、GDPが日本の20分の1と低いのですが、国民の90%以上が自分を幸せと考えているとのことです。ブータン国民は幸せの尺度を物を持つことではなく、人間関係や隣人関係、家族関係の平和と交流においているそうです。豊かな自然の中で、家族の契りや隣り近所の人々との付き合いを大切にし、心穏やかに暮らすブータンの人々が目に見えるようです。日本にもかつてそのような時代がありました。

しかしながら、あまりにもブータン国民の幸福度が喧伝されることに一抹の不安も感じます。日本国内のインフラ整備が住民の期待に追いつけない実態から、目をそらさせるために利用されるのではと考えるのはうがち過ぎでしょうか。

社会の仕組みが高度化した日本では、インフラの充実は人々が満足できる生活を送る上で欠かせないものなのです。ちなみに、都市部に住むブータン人の生活満足度は50%を切り、44.1%だったという調査もあります。住民が幸せに暮らしていると実感できるための基盤づくりに、政治家としてこれからも頑張りたいと思っています。