伊藤まさひろ世事感懐
千葉県行政監視役としての責任
世間を騒がせた千葉県庁の不正経理では、2286人の県職員や教育委員会職員が処分されましたが、われわれ県議会議員も、この巨額不正経理事件の責任をとって、議員報酬をカットすることになりました。6月県議会最終日の先月22日、我が自民党を代表して、同僚議員の阿部紘一議員が県会議員報酬削減案を提案し、賛成多数で可決されました。
県庁のほとんどの職場で、何年にもわたって行なわれてきた不正経理を発見できず、千葉県行政を監視する県議会の役割を果たせなかったというのが報酬カットの理由です。今月から3か月間、報酬の3%をカットします。
それにしても、千葉県庁の不正経理は前代未聞の事件でした。千葉県庁や教育委員会で行なわれていた不正経理は、平成19年度までの5年間で、総額36億6千万円に上りました。不正経理の手口の7割を占めていたのが、出入りの文具業者などに架空の発注伝票を作成し、納品されたとみせかけて支払った〝代金〟を、業者の口座にプールしておくやり口でした。このようにして、8132万円もの公金をプールしていた業者もありました。
プール金を使って料亭遊びに興じていた職員もいました。毎週のように千葉市内の料亭で、コンパニオンをつけて飲食していたということです。この職員が作った裏金は2150万円にも上りました。
県庁のほとんどのセクションで行なわれ、さらにプール金で豪遊を繰り返していた者がいたにもかかわらず、なぜ、このような不正が長い間、白日のものにならなかったのでしょうか。県議会の不正経理調査特別委員会などの調査では、それまで、千葉県庁では物品購入に当たって、業者からの納品書の受領が義務付けられていなかったためとされています。職員同士の馴れ合い体質も表面化を遅らせた原因と考えられます。
それでも、会計検査院の指摘まで、千葉県行政を監視・監督する立場の県議会が、このような不正を指摘できなかったというのは忸怩(じくじ)たるものがあります。今回の議員報酬のカットはその責任の一端を取ってのものです。不正経理追及に幕を下ろすものだと、報酬削減案に反対した他会派もありましたが、もちろん、決してそういうことはありません。県が打ち出した様々な不正経理防止策がきちんと機能しているか、引き続いて厳しく監視するつもりです。