伊藤まさひろ世事感懐

女性が活躍する社会

女性が活躍しやすい職場づくりを進める上場企業48社を、経済産業省が2017年度の「なでしこ銘柄」に選びましたが、本県からは千葉銀行とイオンがランクインしました。女性が社会の第一線で働くのは今や時代の要請です。女性の能力が十分に発揮できる環境づくりが企業に求められています。

千葉銀行は、頭取や役員が女性活躍推進の重要性を発信してきたことが評価され、地銀初の選定になりました。イオンは子どもが出来た男性社員に「パパ辞令」を交付して育児休暇の取得を呼びかけ、男性社員の育休取得率100%を達成したそうです。

政府は2016年4月に「女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)」を施行しました。301人以上の労働者を雇用する企業すべてに、女性の活躍促進のための行動計画を策定し届け出、さらに従業員への周知・公表などを義務付けるものです。なにやら、社会の一線でバリバリと働く女性の育成をイメージしますが、この法律の趣旨はそうではありません。女性を出世させるだけではなく、女性本人の意思に基づいた幅広い取り組みを求めているのです。

1986年に職場での男女差別を禁じる「男女雇用機会均等法」が施行されました。それから30年、その間、「育児介護休業法」などが施行され、女性が働きやすい環境づくりが行われてきましたが、「女性活躍推進法」はさらにそれを後押しし、女性に社会で能力を一層、発揮してもらおうというものです。

政府が女性の職場での活躍を推進する理由は、少子高齢化による労働力減少が目の前に迫ってきているからです。産業活動の担い手不足は、確実に経済成長に影を落とします。そこで、女性の労働参加に期待し、それを実現するための法律が次々と施行されてきたわけです。育児支援などで、女性が働きやすい職場づくりが着々と進められてきました。次に望まれるのは女性が能力を十分に発揮でき、それに応じた待遇が与えられる職場づくりです。

「女性の活躍」はアベノミクスの重要な戦略で、これに基づき、政府は2020年までに、指導的な地位に占める女性の割合を30%にするという目標を打ち出しています。女性のキャリアアップに向けた企業の対応が注目されます。