伊藤まさひろ世事感懐

パワハラ

千葉労働局へ2015年度中に寄せられた職場でのトラブルに関する労働相談のうち、パワーハラスメント(パワハラ)の相談が2年連続して2千件を超えました。労働相談コーナーへの民事上のトラブル相談の三分の一近くを占め、3年連続のトップ。職場でのパワハラが決して珍しくなく、それに悩んでいる人がいかに多いかを物語っています。

職場でのパワハラは大別して6つの類型に分けられるそうです。けられたり殴られたりする身体的攻撃、同僚の前で無能扱いされるなどの精神的な攻撃、1人だけ別室に席を移されるなどの人間関係からの切り離し、過大なノルマを与えるなどの過大な要求、逆に仕事を与えない過小な要求、交際相手について執拗に問われたり、妻の悪口を言われる個の侵害の6つです。先輩上司からの無視も立派なパワハラです。

実際に労働相談コーナーに持ち込まれた事例では、上司から暴言を受けたり、無視されて精神的に追い詰められたという相談が目立ちました。

社員に過重負担をさせて使い捨てるケースもあるようです。昔、上場もしていたある企業は毎年、300人を上回る新卒採用をしていました。新入社員が営業職に振り分けられると厳しいノルマが待っていて、達成できないと毎日、暴言が浴びせかけられ、退社するように仕向けられました。結局、会社に残るのは数十人で、暴言は大量採用した新入社員から営業成績が悪い社員を振り落とすためのものでした。現在でも、ブラック企業といわれる会社に、社員を使い捨てるためのパワハラが目立つといいます。

パワハラで精神的に打撃を受け、うつ病になった人も大勢います。電通の女子職員が過重労働を訴えて自殺した出来事では、上司によるパワハラがあったと報道されています。厚生労働省の統計ではパワハラで精神疾患になり、労災認定を受けた件数は2009年度16件、2010年度39件、2011年度40件と増加を続け、2014年度は69件に達したそうです。

パワハラで悩んでいる人に様々な相談窓口が用意されています。都道府県の労働局の労働相談コーナーもその一つです。このほか、法務局のみんなの人権110番、都道府県の労働委員会などがあります。一人で悩んで精神疾患に陥る前に、これらの機関に相談してはいかがでしょうか。きっと良い解決策をアドバイスしてくれると思います。