伊藤まさひろ世事感懐

学校のトイレ

暑い日が続きましたが、いかがお過ごしでしょうか。今年の夏も、熱中症で病院に運び込まれる人が多かったようです。秋風が吹くようになるまで、十分に気を付けましょう。

今回は学校のトイレの話題です。大手便器メーカの大便器の出荷数は昭和52年に洋式が和式を上回った後、年々その差が広がり、平成25年度には洋式が99%、和式はわずか1%だったそうです。この数字からも分かるように、家庭ではほとんどが洋式トイレなのに対し、学校のトイレはいまだに和式が主流です。100カ所を目標に小学校に洋式トイレをプレゼントしているトイレ清掃・消臭商品メーカーの調査では、洋式が主流の小学校は全体の4分の1にすぎません。

小学校に入学して初めて和式トイレに直面し、戸惑う子どもの姿が目に浮かぶようです。加えて、学校の和式トイレの床は臭いや湿気が残りやすいタイル仕様が多く、「汚い」「苦手」と和式トイレを使うのを嫌がり、学校でのトイレを我慢する小中学生も少なくないそうで、健康に与える悪影響が心配されています。

 国内の各施設のトイレは最近、清潔で機能的なものが目立つようになりました。中には見間違うほどゴージャスなトイレもあって、我が国を訪れた外国人は一様に感嘆するそうです。それなのに、学校のトイレが旧態依然の和式のままというのはギャップがありすぎるのではないでしょうか。

思い切って市内の小中学校のトイレをすべて洋式化しようとする自治体も現れました。鎌ケ谷市内の9小学校、5中学校のトイレはおよそ半分の539個室が和式で、これを順次、洋式に切り替える計画です。タイル張りの個室の床も塩化ビニールなどの床材に変更し、モップで清掃できるようにするそうです。1校あたり1億3000万~1億6000万円の費用が掛かりますが、児童がトイレを我慢することがないようにと、洋式化に取り組むことになったそうです。

昨年、内閣官房が音頭を取って、「日本トイレ大賞」なる催しが行われました。世界に誇るトイレ文化を創出しようという試みでしょうが、それには、学校のトイレの近代化にも目を向けるべきです。鎌ケ谷市と同様の取り組みに踏み切る自治体が増えてほしいと思います。