伊藤まさひろ世事感懐

消防団員の確保を

消防団員の減少が止まりません。平成19年には全国で895,294人の団員がいましたが、その後、毎年減り続け、東日本大震災が発生した平成23年には881,638人になり、昨年には864,075人にまで減少しました。少子高齢化による若年層の減少などが影響しているとみられますが、消防団は地域防災の貴重な担い手です。何とかして、団員確保の手段を講じなければなりません。

消防団員の減少傾向は千葉県でも同様です。昭和60年、わが県の消防団員は34,063人でしたが、平成10年には30,744人、平成19年には27,913人と減少を続け、平成27年4月現在では26,368人まで減少しました。「自分たちの町は自分たちが守る」をスローガンに活動する町の消防団員の減少は放置できない問題です。そこで、今年の2月定例県議会予算委員会で、この問題を取り上げ、県に対策を尋ねました。

防災危機管理部長の答弁によりますと、県も消防団員確保のために様々な対策を講じていて、「地域防災力向上総合支援補助金」を創設し、市町村が行う入団促進のPRイベントなどに活用できるようにしました。また、団員が増加した市町村に対して、新入団員の装備品への補助率を引き上げました。

シンポジウムを開催して大学生や女性への入団の働きかけも行われています。1月には知事が県内の市町村長あてに文書で、大学生・女性の入団促進に積極的に取り組むよう要請しました。それらの働きかけが功を奏したのか、平成26年の女性消防団員は517人で、前年度よりも47人増加したそうです。

消防団員減少の原因は少子化のほかに、消防団の訓練のために時間を割くのが難しいサラリーマンの増加が考えられます。実際、県内の消防団員の約7割がサラリーマンだそうです。このような情勢から、消防団に協力している事業所であることを表示できる制度を県内全市町村が導入し、事業所の理解と協力を求めるということです。

全国に目をやると、町内の商店が消防団員に割引などをして応援したり、消防団員の職員がいる事業所に対して、事業税を減免する制度を設けている県もあります。 東日本大震災の時の被災地での消防団員の活躍は、人々に感動を与えました。江戸時代の町火消しの伝統を受け次ぐ消防団活動を衰退に向かわせてはなりません。