伊藤まさひろ世事感懐

急がれる外来有害獣の駆除

有害鳥獣による農作物被害が後を絶ちません。県がまとめたところによりますと、2013年度の県内農作物被害は約3億4600万円に上りました。農家の悲鳴が聞こえるようです。

農作物被害の半分はイノシシによる被害だそうです。畑は無残に荒らされ、イノシシの狼藉振りの会話が里山に住む人たちの朝の挨拶代わりという地域もあります。もともと県南部を中心に生息していましたが、今では印西市や東金市まで生息地を広げているそうです。

県内のイノシシは1973年から85年までの13年間、捕獲の記録が無く、いったん絶滅したと見られています。それが、80年代半ばごろから再び増殖しだしました。何者かが他県のイノシシを山に放ったと推測されています。釣りの対象魚として湖にブラックバスなどを放流した行為が問題になっていますが、県内のイノシシももとは狩猟対象獣を増やす目的で放たれたのでしょうか。いずれにしてもけしからぬ話です。

最近ではハクビシン、アライグマ、キョンの外来生物による被害も増えているそうです。ハクビシンは明治時代以降、毛皮用として持ち込まれたものが野生化したとされています。アライグマは北アメリカ原産の野生生物で、ペット用として飼われていたものが逃げ出したり、飼い切れなくなって放たれたものが野生化したといわれています。ハクビシン、アライグマ合わせて13年度は農作物に5100万円の被害を与えています。

キョンは台湾や中国に分布している小型のシカで、勝浦市にあった観光施設から逃げ出して繁殖、2011年度の統計によりますと約17000頭まで増えているそうです。2013年度の農作物被害は80万円にとどまっていますが、繁殖力が強く、頭数が増えるとともに被害額の増大も予想されます。

今のうちに有効な手を打たなければ、これら外来有害獣はますます増殖し、被害が急激に増大することは目に見えています。県はハクビシン、アライグマ、キョンもイノシシ、サル、シカだけだった捕獲事業の助成対象に加え、わな猟の研修も行うそうです。できる限りの対策を急ぐ必要があります。