伊藤まさひろ世事感懐

夜間中学校の充実・拡大を

季節によっては街に灯りがつくころに1時限目が始まる夜間中学校。さまざまな理由で中学校を卒業できなかった高齢者らが中学校の課程を学ぶ学校で、最近では在日外国人の入学者も増えてニーズが高まっているのですが、これに対して公立の夜間中学校は千葉県など8都府県の25市区にわずか31校。絶対数が足りず、自主夜間中学を運営するボランティアに頼っているのが現状です。

最近の文部科学省の調査では、全国の公立夜間中学校に計1849人が在籍。これに対して自主夜間中学で学ぶ人々は計7422人で約4倍にも達しています。公立夜間中学校の生徒の8割、自主夜間中学は6割が外国人だそうです。千葉県市川市の大洲夜間中学校でもフィリピン、中国、韓国、アフガニスタン、ブラジルなど7カ国の外国人が学んでいます

日本のグローバル化や国際結婚の増加で夜間中学校のニーズは今後、ますます高まることが予想されます。本来ならば公的サービスで行われなければならないものをボランティアに頼ったままでよいはずがありません。加えて自主夜間中学では授業時間数も限りがあり、中学卒業の資格も得ることができません。国は夜間中学校を充実し、学ぶ意欲を持つ人々の期待に応えるべきです。

文部科学省はとりあえず各県1校設置を目指すことにしていますが、全市区町村の74%が「夜間中学校の検討の予定が無い」と答えるなど、ハードルは高そうです。自治体を説得し、ぜひ目標を実現して欲しいものです。

さらにもう一つ、課題があります。登校拒否などで満足に中学校に通わないまま卒業した形式卒業者への対応です。公立夜間中学校の入学条件は「中学未卒業者」となっています。形式卒業者は自主夜間中学で学ぶしかありません。「もう一度、学び直したい」という意欲を受け止め、公立夜間中学校での受け入れを実現して欲しいと思います。

国会議員による議員連盟が設立され、夜間中学の設置に関する議員立法の動きもあるそうです。注意深く見守っていきたいと思います。