伊藤まさひろ世事感懐

印旛沼で沼底の土壌検査

印旛沼とその流域河川の水質と、水底の土壌の放射性物質調査が始まりました。手賀沼やその流域河川でも調査が行われます。柏市や我孫子市では、東京電力福島第一原発の事故によるものと見られる比較的高い値の放射性物質が検出されていますが、両市に降った雨が両沼に流れ込んでいるため、今回の調査が計画されました。

環境省の調査で昨年11月、手賀沼上流の大堀川・北柏橋付近の川底の泥から1キロ当たり9700ベクレル、今年2月に大津川・上沼橋で9000ベクレルの放射性セシウムが検出されました。さらに、印旛沼放水路・八千代橋からも7800ベクレルの放射性セシウムが検出されたところから、県が独自調査に踏み切りました。調査の結果は、6月から夏にかけて、県のホームページで公表されることになっています。

調査地点は両沼流域合わせて42カ所に及びます。佐倉市内では印旛沼が上水道取水口などで検査されるほか、手繰川の無名橋、鹿島川の鹿島橋、高崎川の竜灯橋と岩富橋地点でも川の水と川底の土壌が採取され、含まれる放射性物質が測定されます。

もしも、水底の土壌から高い数値の放射性物質が検出されても、沼や川の水で覆われているため、地上の人間には直接影響はないそうです。また、その水を利用しても、土壌中の鉱物と放射性物質が化学的に結合しているためほとんど心配はないようです。ただ、生活排水に含まれる有機物質と結合すると厄介で、手賀沼のコイなどから新規制値を越える放射性セシウムが検出されたのはこのせいと見られています。

これまでの国の調査では、手賀沼の土壌から検出された放射性セシウムが1090~7400ベクレルに対して、印旛沼は440~1250ベクレルと比較的低い数値に収まっています。とは言え、改めてその実態を調査・公表し、印旛沼に親しんでいる住民の不安を払しょくすることも求められています。さらに、万一、高い数値が検出されれば、対策を速やかに講じることが大切です。