伊藤まさひろ世事感懐

DVのない社会実現を

女性サポートセンターなどの県の相談窓口へDV(ドメスティックバイオレンス)に悩む人から寄せられた相談件数が昨年度、5600件を超え、過去最高になったそうです。DVへの認識が高まり、泣き寝入りしないで相談する人が増えたと見る向きもありますが、それにしても、れっきとした犯罪であるDV被害者などからの相談が増加しているというのは由々しき問題です。

DVの相談にあたる機関は女性サポートセンターのほか、ちば県民共生センター、健康福祉センターなどがありますが、それらの窓口に寄せられたDV相談は前年度より8%ほど増え、受け付けを始めた2002年度以降、最高だった2007年度を上回りました。市町村の相談件数も増加傾向だそうです。

DVとは一般に、夫婦や恋人同士の間で、男性が女性に振るう身体的暴力を言いますが、そればかりではありません。言葉での暴力や生活費を渡さない、借金をするなどの経済的暴力もDVになります。被害者は主に女性ですが、まれに男性が被害者の場合もあります。昨年度は男性からの被害相談が4件あったそうです。被害者を一時保護もしますが、昨年度は身の危険を訴えた93人が女性サポートセンターに保護されました。

内閣府の調査によると、3人に1人の女性が何らかのDV被害を受けているとのことです。殺人にも結びつきかねないDVを防止するために、20001年にはDV防止法も制定されています。被害者は裁判所に保護命令を申し立てることができ、それに違反した加害者である配偶者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

それでも、DV被害が後を絶たないことが今回のまとめで明らかになりました。県では新たなDV防止・被害者支援基本計画を策定し、被害者の生活再建や啓蒙活動などに一層、力を入れるそうです。DV根絶には配偶者の人格を尊重し合うことも大切です。DVのない社会をぜひとも実現したいものです。