伊藤まさひろ世事感懐

大地震への備え

ニュージーランドで地震が発生し、多くの人が犠牲になりました。心からご冥福をお祈りします。

ニュージーランド南島のクライストチャーチ付近を震源とした今回の地震はマグニチュード6・3でした。実は、同地では昨年9月にもマグニチュード7・0の地震があって、今回の地震はこの余震と見られているそうです。前回の地震がそれほど被害を生じなかったのに比べて、今回の地震が大きな被害をもたらしたのは、震源が地表から5キロメートルと、ごく浅かったためと見られています。クライストチャーチの地盤が軟弱だったのも災いしました。

ニュージーランドの地中は大変複雑で、オーストラリアプレートと太平洋プレートがぶつかって、ねじれるようにそれぞれの下にもぐりこもうとしています。その中間は横ずれの断層が発達していて、クライストチャーチもその上にありました。

地中の断層が大きく動き、甚大な被害を及ぼした地震と言えば、阪神大震災を思い出します。震度も6強から7と同じでした。阪神大震災の発生を機に、わが国では大地震への備えが言われてきましたが、果たして、今でも一人ひとりがそれをしっかりと心にとどめているでしょうか。

県の地震被害想定によると、東京湾北部地震が発生すると、多くの死傷者のほか、避難者が145万人を超えるということです。エレベーターの閉じ込めが約8000台発生、交通機関がダウンして、地震後しばらくしても、成田空港などの出先に取り残される滞留者が多数にのぼると予想されています。

地震の発生そのものは防げないとしても、被害を最小限にとどめるために、建物の耐震化、避難先の確認、防災グッズの備蓄などの大地震への備えを今一度、胸に刻もうではありませんか。