伊藤まさひろ世事感懐

水泳授業を民間委託

佐倉市は市民プール利用や民間のスイミングスクールに指導を委託する方法で市内の小中学校のプール廃止を検討しています。この方法だと経費が格段に安く済み、学校の負担が軽減するためで、夏場しか使用しない学校プールの維持管理に悩む全国の小中学校から注目されています。

既に佐倉小と西志津小で学校プールを廃止し、民間のスイミングスクールに水泳指導を委託しています。児童・生徒と教師が送迎バスでスイミングスクールに移動し、スクールのインストラクターのレッスンを受けます。水泳の専門家の指導で「長い距離が泳げるようになった」などと子どもや父兄に好評。天候に左右されず、水温や水質、衛生管理などが行き届いたプールで水泳授業ができ、さらに教員の負担も減るなどのメリットも歓迎されています。

佐倉小と西志津小を除く佐倉市内の32小中学校のプールの平均築年数は36年。老朽化が進んでいて、修理などの維持管理費もばかにならないそうです。水質保持のために水を循環させるための電気代もかさみ、佐倉小、西志津小を含めた現状のままの30年間の学校プール維持管理費や改修費用は31億1000万円必要と試算されました。これに対して、小中学校のプールを廃止し、民間のスイミングスクールや市営プールを利用すると必要経費は17億5000万円となり、13億6000万円(約44%)削減できるといいます。

水泳教育のコストが大幅に縮減でき、児童や父兄に好評、さらに教員の負担軽減にもなるなど良いこと尽くめのようですが、市営プールや市内のスイミングスクールプールですべての小中学校の水泳授業が賄えるかなどの問題もあります。そこで、市では小中学校プール廃止の本格的な検証に乗り出しました。事業者を公募して市民プールの改修費や運営費、水泳指導の民間委託費などを調べ、現状のまま学校プールを維持運営した場合のコストと照らし合わせることにしています。

人口減少が予想される中で、公共施設の利用効率化や維持経費の節減はどの自治体でも課題となっています。佐倉市が行おうとしている試みに私も大いに注目していきたいと思います。