伊藤まさひろ世事感懐

子ども食堂

「子ども食堂」をご存知でしょうか。子どもに無料または低額で食事を提供する食堂で、支援する「こども食堂安心・安全向上委員会」の調べによると、全国で2千カ所を超える「子ども食堂」が活動し、年間100万人以上の子どもが利用しているそうです

貧困家庭で満足に食事をとれなかったり、親の帰宅が遅い子どもに食事を提供しようというボランティア活動です。2012年、朝ご飯や晩ご飯を当たり前に食べられない子どもが大勢いることを知った東京都大田区の八百屋店主、近藤博子さんが初めて「子ども食堂」を立ち上げ、これを皮切りに全国に広まりました。委員会の調べによると、県内にも62カ所の「子ども食堂」があり、活動を続けているそうです。

その中の一つ、鎌ケ谷市の「子ども食堂」を紹介しましょう。名称は「鎌ケ谷こどもだんらん食堂」。平成28年8月に初めて開催されて以来、現在は月1回、公民館などで店開きしています。カレーや餃子、クリームシチューなどの献立が子どもらに無料で提供され、昨年度は延べ618人の参加者があったそうです。4月17日に開催されただんらん食堂では、足を運んだ50人の参加者に味噌麺焼きがふるまわれました。

全国に広まった「子ども食堂」、最初は子どもの貧困対策の意味合いが強かったのですが、今では高齢者や保護者の参加も受け入れて地域交流の場になっています。「鎌ケ谷こどもだんらん食堂」でも大人は300円で食事をすることができ、参加した高齢者と子どもの交流が実現しています。

自治体や企業の補助を受けて運営している「子ども食堂」もありますが、多くの「子ども食堂」が経費を会員の会費でまかない、食材を持ち寄ったりして運営しているそうです。ボランティアの熱意に支えられている「子ども食堂」ですが、万一に備えた保険料などの負担もあって、運営に苦労するところも少なくないようです。

我が国の子どもの貧困率は約13.9%(2015年現在)で約7人に1人が貧困生活を送っているということです。そのような状況の中で、「子ども食堂」は大変貴重な存在で、運営に携わる方々の努力には頭が下がる思いです。子どもの居場所づくりにもつながるこの「子ども食堂」、全国に広がることを期待しています。