活動報告

伊藤まさひろ世事感懐

平成30年4月 高齢者の運転免許証返納

警察庁がまとめたところによりますと昨年、75歳以上のドライバーによる運転免許証の自主返納件数は25万2677件で、1998年の制度導入以降で最も多かったということです。本県でも1万人を超える高齢ドライバーが運転免許証を自主返納しました。

高齢になると自動車運転に欠かせない運動能力や判断能力が確実に衰えていきます。さらに、高齢者医療研究機関の調べによりますと、65歳以上のドライバーの6割以上に中程度の認知障害が認められるということです。高速道路を逆走したり、事故を起こしたものの「記憶にない」「事故の原因が分からない」と答える高齢ドライバーが増えています。

団塊の世代が一斉に高齢期を迎えたことで、自動車を運転する高齢者が増え、それに伴って高齢ドライバーによる事故が増えているのが現実です。自動車の任意保険を扱う損害保険会社は高齢者による事故増加に悲鳴を上げて、高齢加入者の保険料引き上げに踏み切るところが目立ちました。

県内では全体の交通事故発生件数が減少している反面、高齢ドライバーによる事故は横ばいで、その結果、平成28年度の高齢ドライバーによる事故は全体の22・1%を占めました。全国的にも同様の傾向で、高齢ドライバー対策が喫緊の課題になっています。このため、2017年に道交法を改正し、75歳以上のドライバーの認知機能検査を強化しました。

運転免許証の自主返納を促すさまざまな試みも行われています。多くの自治体が運転免許証を返納した高齢者に運転経歴証明書を交付して、バスやタクシー料金の割引をしています。自宅への商品配送を無料で行っている百貨店もあります。高齢者の運転免許証返納が過去最多になったのは、このような試みが効果を上げつつあるのではと推測されます。

内閣府の昨年の意識調査では、免許証を自主返納しようと思う時期について、70歳以上の免許証保有者の74・3%が「自分の身体能力の低下を感じた時」と答えました。その一方で、「家族や医者などから止めるように勧められた時」は26・3%にとどまり、周囲の人から運転を止めるように言われてもそうしない人が多いことが明らかになっています。今年1月には群馬県前橋市で、家族が運転を止めさせようとしていた80歳代の男性が自動車で女子高校生2人をはねる事故を起こしました。

運転のための身体能力低下を自ら納得するために、自動車運転シミュレーターなどを用いて高齢者が手軽に自分の運転技術が分かる施設や機会を増やし、免許証返納を加速させることも一考すべきだと思います。

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