活動報告

伊藤まさひろ世事感懐

平成28年12月 五輪会場仮設費

降ってわいたように、東京都以外で行われる2020年東京オリンピック・パラリンピックの仮設建設費の負担を開催県に求める動きが出てきました。そもそも仮設施設の建設費は組織委員会負担だったはず。1兆8000億円まで膨れ上がった大会費用をまかなうのが難しくなったといって、当初の約束を反故にしようとするなど、とても飲めた話ではありません。

千葉県ではレスリングなど7競技が幕張メッセで、サーフィンが一宮町で行われます。突然の動きに森田知事は、「初めのお約束と違うわけでございます。組織委員会でまかなえない場合は東京都。それで駄目なら国で相談することになっているのだから、それをやってもらわないと…」と不満を述べました。埼玉県の上田知事は「何ら正式に一つも話がない中で、煙や臭いだけは妙に出てくるというこれはけしからん話」、横浜市の林市長も「仮設の負担についても、各自治体でというのは筋が違う」とそれぞれ、組織委や都の動きをけん制しています。

そもそも千葉県と千葉市は東京オリンピック・パラリンピックまでに約160億円をかけて幕張メッセの改修に取り組むことになっています。この上、オリンピック開催のための経費を拠出させられるのは論外で、千葉市の熊谷市長は「仮設費用は組織委が持つという当初の原則を守ってもらうことが筋」と話しています。

オリンピックサーフィン競技の会場となる一宮町釣ケ崎海岸で今年5月に開かれたサーフィン大会では、観客席など仮設施設の建設費として400万円かかったそうです。この金額をもとに積算すると、オリンピックでは最低でも2千万円以上必要と見られています。

IOCに提出された、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の詳細な開催計画を記載した立候補ファイルでは、開催費用は組織委と都、政府で原則負担し、会場については恒久施設を都、仮設と恒久施設を大会仕様にする改修費を組織委が負担するとされていました。千葉県や千葉市、埼玉県などにとって、仮設費用の負担を求められるのは話が違うというわけです。

このような話が持ち上がったのは、一にも二にも開催費用が膨れ上がったためです。招致時に723億円と試算された仮設整備費も2800億円に膨らみ、全額負担することを渋った組織委は、このうちの2000億円を都や協議を開催する都外の自治体などが負担する案を示しています。

組織委からはまだ、正式な話はありませんが、森田千葉県知事を初め埼玉県、神奈川県、千葉市などのトップらが12月26日、小池都知事や大会組織委の森会長と面会し、「仮設費用は組織委が負担するとの原則を維持するように」との10自治体の要望書を提出しました。経費負担の議論は組織委、東京都、国の間でこれから本格化する予定で、その行方が注目されます。

印刷 閉じる