伊藤まさひろ世事感懐

野球王国千葉の復活へ

春夏の全国高校野球選手権千葉県大会が来月にも開幕します。試合の行方に一喜一憂する熱心な高校野球ファンも多いに違いありません。今夏、高校野球の頂点に立つ学校は、果たしてどこでしょうか。

千葉県はかつて野球王国と言われていました。銚子商業高校、習志野高校などが甲子園で活躍、県民はテレビに釘付けになりました。夏の大会では1967年の第49回大会で習志野高校が県勢悲願の全国制覇を成し遂げ、第56回と第57回大会では銚子商業高校と習志野高校が県勢として連続優勝を果たしています。

47回大会の銚子商業高校、74回大会の拓大紅陵高校、82回大会の東海大浦安高校もそれぞれの大会で勝ち進み、準優勝をしています。春の選抜大会に目を移せば、1981年、第53回大会で印旛高校、1995年の67回大会では銚子商業高校が準優勝の活躍をしました。

それぞれのチームをけん引した名選手の活躍が今でも語り草になっています。銚子商業のエース土屋正勝投手は56回大会で、5試合わずか1失点の好投を見せ優勝投手になっています。チームメートだった篠塚利夫(現在は和典)選手は、どっしりとした構えから鋭いライナーを量産しました。ミスタータイガースと言われた掛布雅之選手は習志野高校で活躍しました。

ただ、最近の県勢の勢いがかつてほどではないのが心配です。決勝まで駒を進めたのは2000年の東海大浦安以来、絶えています。今春の選抜大会では千葉県から1校も選ばれず、さびしい思いをしました。

中学時代に活躍した選手の中には、野球強豪校に行って下積みから苦労するよりは、さほど野球が強くない高校に進学して早くから目立ちたいと考える者も多いといいます。また、スポーツの多様化で、野球の才能がある者がサッカーなど他の競技に行ってしまうことも多々あるそうです。

これらの傾向は何も本県だけに限ったものではなく、本県代表校が今一、全国大会で結果を残せない背景が他にもあるとは思いますが、これらの障害を乗り越えて好選手を育て、ぜひとも野球王国千葉を復活して欲しいものです。