活動報告

伊藤まさひろ世事感懐

平成22年11月 始動間近の国営印旛沼2期事業

印旛沼周辺の農業水利施設を整備する国営印旛沼2期事業がいよいよ本格的に動き出そうとしています。水田の農業用水を確保するとともに、周辺住宅地を洪水から守ろうというこの事業に、大きな期待が寄せられています。

計6ヵ所の用水・用排水機場や計4路線の用水路・排水路、さらに各機場の水管理制御施設などを一挙に整備・改修をしようというもので、平成9年度から計画策定作業が進められてきました。受益面積は佐倉市、成田市、印西市、八千代市、酒々井町、栄町4市2町の計5002ヘクタールに及びます。

受益農家の90・6%が事業に同意し、6月30日に農家代表から農林水産大臣に施行申請が提出されました。今後は農林水産大臣によって事業に対する適否の決定が行なわれ、その後、事業計画の確定を経て、年度内には正式着工する見込みということです。今年8月には国営印旛沼2期農業水利事業所が開設され、平成24年度からの工事の本格実施に備えられています。

印旛沼関連の工事に、これまで多くの先人がかかわりました。幕府の老中田沼意次もその一人です。さらに老中水野忠邦も印旛沼の水を今の東京湾に流す掘割工事と干拓事業を手がけましたが、失脚や罷免で、いずれも完成までには至りませんでした。

本格的な工事は戦後の食糧難を解決する一助にと、昭和21年度から昭和38年度まで行なわれた国営印旛沼干拓土地改良事業でした。現在の農業用用排水施設はこの事業と、昭和38年度からの水資源開発公団営印旛沼開発事業で造成されたもので、完成から40年以上が経過し、老朽化が大分目立ってきました。さらに、沼周辺の住宅化が進み、現在の排水施設の能力では足りなくなってきました。今回の国営印旛沼2期事業は農業の発展のためだけではなく、地域の安全を守るための事業でもあるのです。

農業のために印旛沼の水は、沼から水を取水し、さらに沼に返す循環型かんがいとして使われています。水田に一定期間はられた沼の水は窒素が減少することが確認されています。印旛沼が水田に農業用水を供給し、水田が沼の水を浄化して返すという持ちつ持たれつの関係でもあるのです。

農業の未来を築き、街の安全を守り、豊かな自然を育てるために国営印旛沼2期事業の速やかな着手と順調な工事遂行を望んでやみません。

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