活動報告

伊藤まさひろ世事感懐

平成22年8月 心の支援の必要性

日本人の平均寿命がまた延びたそうです。厚生労働省が発表したもので、平成21年は男性79・59歳、女性86・44歳になりました。女性はこれで25年連続の世界一です。

医学の進歩や生活環境の改善が寄与した記録で、もちろん結構なことなのですが、少子化もあいまって、様々な問題が派生してきました。その一つが独り暮らしのお年寄り、いわゆる独居老人の増加です。

厚生労働省が発表した平成21年の国民生活基礎調査によると、960万9千世帯が65歳以上の高齢者だけの世帯でした。このうち、伴侶と死に別れたり、様々な事情で家族と離れ独りで暮らしている独居老人の世帯は、463万1千世帯に上っています。

これは、65歳以上の人がいる世帯の23%にもあたっていて、お年寄りがいる世帯の4世帯に1世帯が独り住まいということになります。ちなみに平成7年の独居老人世帯は219万9千世帯。この14年間で2倍以上に増加したことになります。

もちろん、生き生きと充実した毎日を過ごしている独り暮らしのお年よりも大勢います。しかし、家で倒れた時の不安から始まって、足腰が弱ったための買い物の不便、悪質リフォーム業者の標的にされる、アパートなどの部屋がなかなか見つからないなど、お年寄りの独り暮らしは何かと支障が多いのです。

そこで行政の出番です。すでに、万一の場合の緊急通報体制を整備したり、福祉電話を貸与するなど、自治体ごとに様々な独居老人対策を行なっているようです。成田市ではヤクルトと提携し、希望する独り暮らしの70歳以上のお年寄りにヤクルトを無料で配達すると同時に、安否確認をするユニークな事業を4月からスタートさせました。

このような見守り事業と同時に必要なのが、心の支援です。阪神大震災の後、被災した高齢者の自殺が相次ぎました。震災で慣れ親しんだ地域コミュニティが崩壊し、避難先で孤独にさいなまれた末に死を選んだというケースが多かったということです。

行政はお年寄りを見守るだけではなく、積極的に心の隙間を埋めてあげなければなりません。独居老人宅の巡回員を確保し、話し相手になる事業も大切です。先に紹介した成田市の事業では、配達員が努めて高齢者の話し相手になるということです。お年寄りを温かく見守る地域コミュニティを再構築するためにも、地域の人々がお年寄りに声をかけるキャンペーンを手がけたらと行政に提言します。

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