活動報告

伊藤まさひろ世事感懐

平成22年6月 おいしい魚をいつまでも

周りを海で囲まれた島国に住む日本人にとって、魚は昔から切っても切れない食料資源です。その漁業資源が年を重ねるごとに減少しているといわれています。地中海と大西洋産のクロマグロが少なくなっているとして、ワシントン条約締結国会議で国際商取引禁止案が論議されました。投票の結果、日本の働きかけが功を奏して、否決されましたが、クロマグロの水揚げが年々、減っているのは事実です。そのほかにも、銀ムツなど、急速に漁獲量が減っている魚は枚挙に暇がありません。

魚はある程度獲っても、子孫を増殖しようとしますが、ある一定の量を割り込むと、急速に絶滅の道をたどるといわれています。その量を持続可能生産量と言います。それを決めるのは非常に複雑で難しいのですが、「世界の4分の3の漁場で、持続的でない漁獲が続けられており、このままでは、2050年には、ほぼ全ての漁業資源が崩壊する」と警告する漁業科学者もいます。魚好きの日本人にとってゆゆしき問題です。

頼みの綱は魚の養殖技術です。クロマグロの完全養殖には近畿大学水産試験場が成功していますが、最近、話題になったのがウナギの、卵から成魚までの完全養殖です。独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所が世界で初めて成功した偉業です。深海で産卵するウナギの生態はなぞが多く、これまで世界の水産研究機関が完全養殖技術実現を競っていました。

佐倉市の県水産総合研究センター内水面水産研究所でも同様の研究に取り組んでいて、ウナギの生態解明へ多くの成果をあげてきました。映画「うなぎ」でカンヌ映画祭パルム・ドール賞を獲得した今村昌平監督が、撮影に先駆けて、ウナギの生態の教えを同研究所に乞うたというエピソードも残されています。それはともかく、おいしい魚をいつまでも食べることができるためにも、水産技術者や、漁業関係者らの努力に期待したいと思います。

印刷 閉じる